お金の減らし方 by 森 博嗣
森 博嗣
1957年愛知県生まれ。工学博士。
某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー。以後、犀川助教授・西之園萌絵のS&Mシリーズや瀬在丸紅子たちのVシリーズ、『φ(ファイ)は壊れたね』から始まるGシリーズ、『イナイ×イナイ』からのXシリーズがある。
「お金がないから好きなことができない」
人はとお金を理由にしがちです。
一方、お金持ちは「お金は使えば使うほど増える」といいます。
人生や価値観を左右する「お金」とは一体なんなのか。
どうすれば、お金の不安が消えるのか?
目次
第1章 お金とは何か?
第2章 お金を何に使うのか?
第3章 お金を増やす方法
第4章 お金がないからできない?
第5章 欲しいものを買うために
第6章 欲しいものを知るために

MEMO
お金の減らし方
◆ネットオークションで世界が変わった
古物商、骨董商という専門の商売がある。
趣味人が亡くなったとき、
その人の持ち物の大半は、
遺族には価値がわからない。
これをまとめて古物商・骨董商に売る。
ネットオークションを利用すれば、
古物商・骨董商に売るよりも
もっと高く売れることをほとんどの人は知らない。
◆お金持ちが貪欲だというのは、
ある意味では、
そのとおりだと思う。
お金に貪欲なのではなく、
自分が欲しいもの、
自分がしたいことに貪欲なのである。
つまり、
これがお金持ちになった
原動力だといってもよい。
◆少し賢い人は、
自分がしたい未来を想像し、
そのために少しだけ回り道をする能力がある。
これが「我慢」と呼ばれる行為である。
一方、そこまで賢くない人は、
我慢できないので、
今できる一番やりたいことを常に選択してしまう。
そうすると、
お金がなくなったり、
犯罪に手を染めたりして、
結果的に大損してしまう。
◆お金を増やす方法
- 自分の時間とエネルギーを差し出して、その対価をもらう(仕事、バイトなど)
- 自分が持っているものを売る
- 投資
- ギャンブル
- 自分自身の仕事能力を高める(勉強)
おすすめは「5」番の「勉強」。
つまり、自分自身に投資する。
◆餌で釣られないように
お金を稼ぐための
有料の講演会や講習会が頻繁が開催されている。
これらに参加する前に
一度考えて見てほしいことがある。
なぜ、そんなに稼いだ講師が、
どうして講演会等で細かい金を集めようとするのか。
よく観察すると、
もう稼ぐことが難しくなってきた、
あるいは引退したから、
自分の方法を伝授しよう、
ということが以外と多い。
つまり、
現在ばりばりとお金を
増やし続けている人ではない、
ということだ。
お金を増やし続けることに忙しい人が、
どうして他者に自分の方法を教えるだろうか
(しかも有料で)。
それくらいの道理は、
理解できるはずだ。
というよりも、
その程度の基本的な理屈がわからないようでは、
お金を増やすことはできない。
世の中にいる賢い人たちに
搾取されるだけである。
◆住宅は、
人に見せて自慢するために建てるのではない。
客を招き入れるためのものでもない。
自分で使うための場所であり、
つまりは道具と同じものだ。
そういった意味では、
洋服と同じだと言える。
◆多くの人が、
やりたいものを仕事にしている。
やりたいから、
その仕事に就いた、
と考えている。
そうではなく逆に考えてみる。
仕事は、
お金を稼ぐために必要だからしている。
職種に対して特に希望しない。
自分が持っている能力に
一致するものが合理的であり、
つまり、
稼ぎやすいものを選ぶのが得と考える。
◆他者に認められたい症候群
他者に認められたい、
という承認欲求が、
このネット社会では
やや過熱しているように思える。
そういう人は、
いっそのこと
SNSを断捨離したほうがよいかも。
◆お金に困る原因は10年まえにある
経済的に困窮している人の悩みというのは、
どこにでも事例がある。
たとえば、
ローンの支払いが苦しい、
という話を聞く。
それは、
最初に得を取ってしまい、
そのツケを自分で支払っている状況である。
そうなるまえに、
なんとかすべきだった。
まず、それを反省しよう。
◆「なにか買いたい」症候群
- 自分には欲しいものがある。
- それを手に入れるためにお金が必要だ。
- だから、少し我慢して働き、お金を得て、あるいは貯めて、そのうえで、目的が達成される。
◆お金というのは、
自分の未来の可能性を考えるツールの一つだ!
◆森博嗣さんの引退後の生活とは?
引退後も、
1日1時間以内の範囲で、
執筆は続けていて、
だいたい毎月1冊は新刊が出ている。
それに、
これまでに出版した本が、
既に350冊以上あって、
それらの印税(Passive Income)が今でも振り込まれる。
電子書籍が沢山売れるような時代になったから
今は絶版というものがない。
欲しい人がいれば、
いつまでも売れ続けるシステムなのだ。
◆森博嗣さんの作家生活とは?
作家になっても、
10年間は大学に勤めていて、
それまでどおり、
まったく休みなく働いた。
夜の10時頃に帰宅し、
そこで夕食を食べ、
風呂に入り、
すぐに寝る。
2時間寝たら起きて、
3時間くらい作家の仕事をした。
そのあと、
出勤までまた1時間半くらい寝る。
そういう生活をしていた。
◆あなたはどっちの生き方?
お金を使わないと好きなことができない人は、
一生懸命働いて、お金を稼ぐしかない。
また、お金などいらない、
質素な生活でも自分は楽しめるという人は、
のんびり気ままに生きればいい。
どちらも、
自分の思い通りに自由に生きていることでは、
同じ価値だ。
◆損をさき、得をあとにする鉄則
富を築く人というのは、
得をできるだけあと回しにする。
最初は餌を沢山撒いておき、
あとで大きな獲物を釣るのである。
逆に見れば、
すぐに手に入る価値に飛びついてしまう人は、
いつまでも貧乏のままだ。
◆交換によって個人が自由になる
自分には価値のないもの、
嫌いなもの、
避けたいものから、
お金によって遠ざかることもできる。
つまり、お金で交換する。
これも、マイナスを遠ざけるので、
広い意味での「価値」といえる。
◆将来にツケを残さないこと
借金をして、
今すぐに手近なものに飛びついてしまうと、
あっという間に抱いていた夢は萎んでしまい、
自分の将来に大きなツケを残すことになる。
借金というのは、
金を貸してくれた人の夢を実現するための手法であって、
金を借りた人の夢はむしろ小さくなるのが道理だ。
そのためにこそ、
利子というものがあり、
投資という商売が存在するのである。
◆目的があれば仕事も楽しくなる
自分が楽しめるもの、
自分が面白いと思えそうなものを、
どんどん試してみる。
その経験を積み重ねるうちに、
自分は何が好きかが、
だんだんわかってくる。
◆お金に価値がある、という勘違い
お金は、目的ではない。
お金を得ることが目的であるわけではない。
目的を達成するための手段として、
お金があるのである。
これは、お金に価値があるのではなく、
目的に価値がある、
という意味でもある。
◆お金がないからできない?
多くの人は、
「時間」や「お金」が不足しているから
自分のやりたいことが実行できない、
と言い訳をするが、
実は、本当にやりたいことが
わからない人である場合が非常に多い。