勝間式ロジカル不老長寿 by 勝間 和代
勝間和代(かつま・かずよ) 経済評論家、株式会社監査と分析 取締役、 中央大学ビジネススクール客員教授 1968年生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。
「身体的リスク」「金銭的リスク」「社会的リスク」といった3つのリスクをしっかりと管理する必要があるのです。
いわば、人生100年時代の幸せの条件は、この3つなのです。
目次
プロローグ 長生きリスクという事実に向き合う
第1章 長生きのリスク・リターンを見極める
老化とは、死に至る慢性病である
長生きリスクを考える
長生きリスクその1 身体的衰えのリスク
長生きリスクその2 金銭的収入減のリスク
長生きリスクその3 社会的つながり減のリスク
時間割引率をコントロールする
第2章 長生きに伴う身体的なリスクをどう抑えるか
わかってきた老化のメカニズム
老化を防ぐ食生活を身につけよう
精製された米食文化の功罪
タンパク質の過剰摂取は寿命を縮める
プラントベース・ホールフードを心がける
お酒は飲まないに越したことはない
身体的リスクは運動で軽減できる
睡眠ファーストの生活が長生きリスクを回避する
歯と口の健康が長生きリスクを回避する
第3章 金銭的リスクは早めの対策がカギ
老後もフロー収入を得られるようにする
年金を受け取らない覚悟をする
金銭的リスクのコントロールは、「ドルコスト平均法」で解決
お金に余裕がある間は誰でもだいたい良い人
保険と遺産の考え方
お金を稼ぐことは最高のエンターテインメント
第4章 老化と社会的リスク
高齢者に社会的つながりがなくなる理由
一生働ける仕事を選ぶ
自分のことは自分で面倒を見るようにする
自分を頼りにする存在を持つこと
第5章 これからの年代別のリスクを想定していく
私たちは嫌でも年代別に判断される
60代の長生きリスク
70代の長生きリスク
80代の長生きリスク
90代以降の長生きリスク
エピローグ 幸せな死を迎えるために

MEMO
勝間式ロジカル不老長寿
◆老化は治療できる病気である【健康】
長生きリスクの最大のひとつは老化。
人間はいまのところ、死ぬ確率は100%。
ところが、近年では歳を取ることと老化することを切り分け、
「老化は病気である」と認識して、
その原因を突き止め治療しようという試みがなされている。
10年~20年後には、
100歳になっても、現在の50歳なみの活動レベルを
保てる時代がやってくる。
現代科学・医学によって、
老化の真の原因が解明されてきており、
老化を「治す」方法や化学物質が次々と発見されている。
老化のメカニズム、プロセスがわかってくると、
老化という現象は、実にありふれた「病気」であり、
「治療」できることもわかってきた。
具体的には、次の物質が、
老化に作用し、人間の寿命を延ばすことに
働きかけることが明らかにされている。
・ラパマイシン
・メトホルミン
・レスベラトロール
・NAD
・NMN
残念ながら、
こうした研究が完成し、
製薬会社から具体的な治療薬が出るのは、
おそらく早くとも10年後、もしくは20年後くらいになると思われる。
今日、明日にそんな画期的な薬が出るわけではない。
だが、老化を食い止めるためには、
現在わかっていることでも、できることは多い。
詳しくは割愛するが、
・老化を防ぐ食生活
・お酒を飲まない
・適度な運動・睡眠
を実践すれば老化を遅らせることができる。
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◆人生100年時代の幸せの条件【健康】
私たちが100歳まで生きる、
もしくはそれ以降も寿命が続くという、
人生100年時代の常識を前提にすると、
そんな時代に幸せに生きるためには、
次の3つのリスクが大事になる。
- 身体のリスク
身体的リスクを最小限に抑え、はっきりとした頭と健康な身体で過ごす自由を持つこと。 - 金銭のリスク
金銭的リスクを抑え、一生の間、フロー収入の範囲で暮らせる自由を持つこと。 - 社会的リスク
社会的リスクを抑え、家族や友達、そして社会と円満な関係を保ち、孤独にならないこと。
このように、
「身体のリスク」「金銭のリスク」「社会的リスク」
と言った3つのリスクをしっかりと管理する必要がある。
いわば、
人生100年時代の幸せの条件は、
この3つのリスクに集約される。
100歳という年齢になってから
幸福に過ごそうと思うと、
かなりの無理ゲーとなる。
でも、それを無理ゲーだと言って、
避けているようでは、
結局、大変な老後が待っていることになる。
あなたが100歳を超えた頃に、
幸せな人生を送るためには、
逆算して50歳のころから準備をして
老後を「構築」する必要がある。
◆人生100年時代には生涯現役を目指す【健康】
生きるということは
人の役に立つことであり、
幅広い人の役に立つのは
仕事がいちばんなのではないか。
仕事というのは、
人の役に立ちながら相手から報酬をもらえる、
という、ある意味、非常に優れた仕組みがある。
自分が生きていることの
証にもなっていると言ってよい。
仕事をしていると、
オン・オフの切り替えが日々、
あるということ。
適度な緊張やストレスが、
日々の生活に張り合いを持たせてくれる。
仕事という緊張の時間があるからこそ、
たまの休みに旅行に出かけて息抜きすることが
より楽しめる。
◆長生きリスクに気づけない理由(ワケ)【健康】
私たち人間の心理には、
双曲割引という特質(仕組み)がある。
これは、
目の前のリスクについては
非常に敏感であるにもかかわらず、
遠いリスクについてはその存在を忘れてしまう。
50代、あるいは40代以下の人たちにとって、
長生きリスクというのは遠い未来の話で、
気がついた70代、80代になって、
リスクの渦中にあるころにはすでに時遅しなのだ。
これから誰もが長生きする時代に、
老いを迎えたときのリスクのマネジメントは、
80代や90代から始めてももう遅い。
少なくとも40代からいから、
遅くても50代までに始めないと、
とてじゃないが対処できない。
◆老化とは?【健康】
私たちの身体の細胞には、
寿命がある。
生まれてから死ぬまでの間、
一定の回数以上は、
細胞分裂することができない。
それは細胞分裂するたびに、
細胞の染色体のなかにある
「テロメア」がどんどん短くなるため。
テロメアがどんどん短くなり、
老化が進んでしまうと、
さまざまな臓器に故障が生じる。
その故障が一気に来れば、
いわゆるぽっくり死するが、
それは稀で、
ありとあらゆる不具合が
少しずつ発生していき、
徐々に身体が弱り、
死を迎える。
つまり、
老化は一気に来るのではなく、
生まれたときから、
徐々にゆっくりと進行していき、
死を招く。
これからの時代、
こうした故障と不具合と
付き合いながら、
私たちは100年の人生を
歩まなければいけない。