女性ミリオネアが教えるお金と人生の法則 by トマス・J・スタンリー
トマス・J・スタンリー
アメリカ富裕層研究の第一人者。ジョージア州立大学の教授職を経て、ニューヨーク州立大学オルバニー校マーケティング学部の教授となり、1973年、アメリカ全土の億万長者を対象とした初の大規模調査を実施。現在は教壇を退き、富裕層向けビジネスを行なう企業や金融機関のアドバイザー、講演者として活躍している
お金に不自由しない生き方のコツ。金持ち女性の意外な暮らしぶり。
目次
第1部 億万長者の女性ってどんな人?
第1章 億万長者の女性たちを紹介しよう
第2章 金持ち女性の意外な生活
第3章 徹底比較・億万長者の女性と男性
第2部 億万長者ファミリーの研究――親、夫、子ども
第4章 女性ミリオネアが育つ「親の習慣」
第5章 ベータ・ウーマン――障害を乗り越えて成功する女性たち
第6章 女性ミリオネアと結婚する方法
第7章 億万長者の子どもは、幸せになれない?
第3部 億万長者になれる女性、なれない女性
第8章 たくさん寄付する人ほど、金持ちになれるのはなぜ?
第9章 自分の人生は自分でコントロールせよ
第10章 自分の会社をつくる
第4部 こうして私たちは億万長者になりました!
第11章 ブライアンとクレア――遅咲きの不動産ミリオネア
第12章 ビバリー・ビショップ、セールスの仕事について語る
第13章 学校の先生は、資産家になる?
第14章 主婦だって、億万長者になれます

MEMO
お金と人生の法則
◆親から現金をもらうと、
「弱い子がますます弱くなる」という法則どおりに、
経済力がますます低下していく。
もらった金でさらに浪費に走ることが多いため、
親から現金をもらう人は、
もらわない人よりも資産レベルがかなり低く、
約80%しかない。
◆遅咲きの不動産ミリオネア、ブライアンの物語
ブライアンは子どものころから車が大好きだった。
15歳のときに洗車場で働き始め、
その仕事がすっかり気に入ってしまった。
すぐに仕上げを任されるようになり、
その出来ばえに関心した客から、
個人的に頼まれるようになった。
やがてブライアンは、
洗車場では限られた
台数の仕上げしかできず、
一定以上の収入にはならないことに気づいた。
じっくり考え、
また客の多くから応援されたこともあり、
ブライアンは洗車と仕上げをする会社を起こした。
ブライアンは客に好都合な時間と場所で
車を仕上げることにした。
「人が求めるもの」を思いやることができる
彼らしい発想だ。
ほとんどの人は、
自宅の敷地内で洗車と仕上げをしてもらいたがった。
そうすれば車を自宅に置きっぱなしにでき、
時間と手間が省けるからだ。
ブライアンの「自宅洗車」ビジネスは大好評だった。
だが、作業員が彼一人しかいないため、
何ヶ月も先まで予約でいっぱいになってしまった。
このときも、
ブライアンはチャンスをつかむ能力を発揮して収入を増やした。
まず「自宅洗車」の料金を上げていき、
顧客を失わない限度ぎりぎりの金額まで値上げした。
その後、人口あたりの高級車の台数がアメリカでもっとも多い地域に会社を移した。
最高のビジネスチャンスを狙ったわけだ。
ブライアンの顧客のなかには、
アメリカでもっとも裕福で、
フェラリーのヴィンテージ・カーから
ロールスロイスまで数多くの高級車を
所有する人々も含まれていた。
彼の顧客がみな、
自分の車がショールームの飾られるほどの状態にメンテナンスされることを望むことは間違いない。
ブライアンは熱心に仕事をして高額所得者になった。
そして成功の証として豪邸を買い、
さらにメルセデス・ベンツ、ポルシェ、ハーレー・ダビッドソンを購入した。
学習障害があり、
学校で落ちこぼれだった彼にとって、
洗車ビジネスでの成功は人生の晴れ舞台に思われた。
周囲に自慢したくなるのも無理はない。
ブライアンは必死に働いてローンを返し続けた。
そうした生活を何年か続けた後、
ブライアンは自分の生き方について考え始めた。
彼は浪費家になったいた。
住宅ローンだけで毎月2200ドルを支払っていた。
浪費するために懸命に働いていたのであって、
資産を蓄えたわけではない。
このパターンをくり返したら、
死ぬまで働き続けなければならないことに彼は気づいた。
幸運なことに、
彼には経済的な成功を収めるまで自分を助けてくれたよきメンターが何人もいた。
最初のメンターのことを「ミスター倹約」と呼ぶことにする。
彼は「1ドルを守り抜くこと」の天才だった。
いつも率直にアドバイスしてくれる旧友がこう言った。
「もう、オモチャには飽きただろう。
売ってしまえよ」と。
ブライアンは自宅と車を処分することにした。
そうして借金を完済し、
手元に12万ドル残った。
ミスター倹約はブライアンに、
彼自身がかつてしたのと同じことをするよう勧めた。
オモチャを売って手にした12万ドルを頭金にして、
4世帯が住めるアパートを買うんだ。
そうすれば、きみはただで住めるんだよ。
アパート購入費のローンの支払いは、
3組の借家人がしてくれる。
それが12年前のことだった。
ブライアンはそのアドバイスに従い、
経済的な自立に向かって第一歩を踏み出した。
それまでのライフスタイルを変えるのには苦労したが、
やがて資産が少しずつ貯まり始めた。
第一のメンターであるミスター倹約のおかげで、
ブライアンは倹約、
つまり「守り」の大切さを学んだ。
そしてブライアンは第2のメンターたちから「攻め」にまわることで資産を生み出す秘訣を学んだ。
いまから10年前、ブライアンの前に、
億万長者になるためのチャンスが訪れた。
とても裕福な顧客から、
家族で1週間ハワイへ行くと聞いた。
ところが、
彼らが戻ってきたのは3週間後だった。
理由を尋ねると、
返事はこうだった。
「ハワイの気候がすっかり気に入ったんで、
2週間余計にいることにしたんだ」
あなたも、
ブライアンが読み取ったのと同じヒントに気づくだろうか。
ブライアンは、
自分の仕事を「2週間余計に」休むことなどできなかった。
予約で仕事を請け負っていたから、
そんなことは不可能だった。
ブライアンは、
ビジネスの世界には2種類の人間がいることを理解しはじめた。
たいていの労働者が属するのは1番目のグループで、
ビーチで2週間余計に過ごすことなどできない。
しかし2番目のグループに属する少数の人々には、
それができるのだ。
ブライアンは2番目のグループに移ることを決意した。
ブライアンは顧客を観察し、
彼らの家や車ではなく、
ライフスタイルを研究し始めた。
裕福な顧客の多くは、
アパートをいくつも持っていた。
一人で2000戸ものアパートを持っている人さえもいた。
ブライアンは、
自分の顧客たちも彼同様、
生まれつきの資産家ではなく、
自力で億万長者になったことを知った。
どの人も、
そう高額でない典型的な
「アパート投資の初心者向け物件」に投資することからスタートして、
今日ではたいへんな金持ちになっている。
そして、
ブライアンのように70時間も働いてはいなかった。
さまざまな顧客のライフスタイルについて考え抜いたあげく、
ブライアンは自分なりの将来図を描いた。
定期収入をあげてくれる不動産を手に入れ、
家賃を集めよう。
そうすれば、
1週間に1日働こうが、
家賃をきちんと受け取れる。
このとき、
ブライアンは人生の岐路に立っていた。
そこでブライアンは人生を変えることにした。
大好きな洗車サービスを続けながら
「アパート・ビジネス」にもっと熱心に取り込むことにした。
手始めにアパートを一棟買って、
管理する方法を勉強した。
別に新しいことを発明する必要はなく、
人がやるのと同じことをしただけだった。
ただ、アパート・ビジネスでたくさん稼いでいる顧客にアドバイスを求めることだけはした。
ブライアンがアドバイスを求めると、
顧客たちは喜んで彼のメンターとなってくれた。
自力で億万長者になった人たちは、
同じ道を歩もうとする人に大いに共感する。
彼らは、自分たちが世間から誤解されていることを感じていて、
自分の動機を説明したくれらまらないのだ。
彼らが経済的成功をめざすのは、
お金のためではなく、
自由を手に入れるためなのだ、と。
アパート・ビジネスを手がけている顧客はみな、
ブライアンの馬鹿げた質問に喜んで答えてくれた。
今ブライアン自身が、
この方法で億万長者になったので、
富を育てることの喜びを家族や友人たちに伝えようとしている。
でも、
だれもわかってくれない。
ブライアンの顧客であるメンターたちはみな高級車を持っているし、
豪邸に住んでいる。
彼らは(億万長者)みな、
ブライアンにこう言い聞かせた。
「オモチャ(高級品)を手に入れるのは、
金持ちになって、
しばらくたってからにしなさい。
金持ちになる前に買ってしまったら、
経済的な自立は絶対に手に入れられないよ。」
今日、
ブライアンの個人資産は160万ドルにのぼる。
かつて所得ハンター時代を振り返って、
ブライアンはこう語る。
「昔は、ただ見せびらかすために金持ちになりたいと考えていました。
でも、お金についてわかってくると、
金持ちが大切にするのは経済的に自立していることであり、
高価な物を持つことではないと気づきました。」
ブライアンは賢明にもアパート経営というビジネスを選び、
それによって億万長者になるチャンスをつかんだ。
彼は洗車サービスの顧客の億万長者たちに、
単純で基本的な質問をした。
- どうやった成功したんですか?
- その職業につけば、自分にも成功のチャンスがめぐってくるでしょうか?
- 私のメンターになってくれますか?
風邪を引きたければ風邪の人と一緒にいればいいし、
失敗したければ失敗ばかりする人と一緒にいればいい。
だが、もし成功したいのなら、
成功している人たちを見つけて交流すべきだ。
ブライアンがメンターから受けたアドバイスは無料だったし、
現在は、彼自身も無料でアドバイスする。
逆境をはねのけ、
苦労を乗り越え、
所得ハンター生活から永遠に足を洗ったことが、
彼のブライドだ。
いまでも大好きな洗車サービスを続けているが、
人生の喜びや満足感は、
富を育てることから生まれると考えている。
アメリカに住むのは自由な人々のはずだ。
しかし請求書や借金の支払いをするために、
毎日仕事に出かけなければならないとしたら、
経済的な鎖で縛られているのと同じだ。
ブライアンは、
そうした鎖に縛られた人々が目を覚まし、
自ら行動して、
富を育て始めることを願っている。
◆もっとも儲かりやすい業種は何か?
153業種の中でトップは、
「医師(開業医)」で、
売上利益率は平均55.5%もある。
女性に限定した業種(医師と弁護士は除外)では、
- マネジメント業(54.7%)
- コンサルティング(54.7%)
- カウンセラー(51.0%)
- 不動産仲介業(46.1%)
- 不動産管理(39.8%)
- 託児所(39.1%)
- ビル清掃業(32.8%)
などの業種の売上利益率が高い。
これから言えるのは、
あなたが起業する業種の平均売上利益率は
少なくとも30%以上なければその業種で起業すべきではない。
◆多くの人が陥りやすい起業の落とし穴
起業するのは、
自分の家を建てるのに似ている。
土台が不安定だったり、
貧弱だったりした場合、
たとえ家そのものは完璧であっても、
なにかあったら一瞬にして倒壊してしまう。
家の土台に当たる部分が、
ビジネスの場合には「業種」なのである。
多くの起業家が「小売業」を始めるが
「小売業」は利益率の低い業者なのである。
個人向け商店の売上利益率は
6.2%、つまり、売上100円につき利益になるのは6円くらいしかない。
個人向け商店は、
もっとも儲からない業種なのである。
それを知らずに店を開く人が多すぎる!
◆起業しても赤字になる企業が多いのはなぜか?
その最大の理由は、
業種によって収益性に大きな差があることを理解しないまま、
起業する人があまりにも多いからである。
収益性の低い業種・職業を選んでしまったために、
どんなに努力しても利益を得られない人はたくさんいる。
もし、起業しても利益があがらないのなら、
あなたは間違った業種を選んでいると考えた方がいい。
さまざまな業種・職種の収益性を検討することなく
起業したために、
せっかくのやる気や能力を無駄にしている。
◆会社が儲かっている場合、
経営者は法人税や所得税などの課税対象となる現金収入をできるだけ少なくし、
未回収の売掛金とか含み益、
すなわち現金を伴わない土地や株式などの
資産価値増加を最大限にしようとする。
節税は、
資産は築くための第一歩である。
◆寄付すればするほど、
けっきょくお金持ちになる
多くのミリオネアは、
年収の少なくとも10%を毎年慈善団体に寄付している。
これらミリオネアには次のような特徴がある。
- 大いに尊敬される
- 人生で楽しみや幸福感を味わうことがより多い
- 富と資産が増え続ける
多額の寄付をするミリオネアは、
自分の所得や支出をきっちり管理している。
お金の出入りをしっかりコントロールすることは、
ビジネスで成功するための第一原則だ。
その結果、
ミリオネアのビジネスはますます成功し、
富と資産がますます増え続けていく。