超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図 by 椿 進
椿 進(ツバキ ススム)
AAIC代表パートナー
Asia Africa Investment and Consulting(AAIC)代表パートナーを務めるアジア・アフリカのスペシャリスト。東京大学教養学部卒業。ボストン コンサルティング グループ(BCG)のパートナー・マネージングダイレクターとして、事業戦略、M&A戦略、新事業立ち上げ、グローバリゼーション等のプロジェクトを実施。2008年に現AAICを創業し、代表パートナーに就任。中国・東南アジア・インド・中東・アフリカ等の新興国において、新規事業育成、市場参入支援等をコンサルティングと投資を通じて実施。日本初のアフリカ・ファンドも運用。
アフリカは、かつて日本や中国、インドが歩んできた道を、加速度をつけて突き進んでいるのです。
最先端のテックビジネスが社会実装され、近未来のビジネス地図がまさに今、書き換えられようとしている。
目次
1.アフリカは想像以上に、大きくて、若い
2.アフリカはどんどん、豊かになっている
3.アフリカはかつて、日本が経験した急成長旗にある
4.アフリカは先端技術が、日本より浸透している
5.アフリカは医療テック市場が、世界で最も熱い
6.アフリカは巨大市場になりつつある
7.アフリカは日本企業が、もったいない状況にある
8.アフリカは国内格差が、まだまだ大きい
9.アフリカは驚くような、巨大開発を行っている
10. アフリカは、4つの進出パターンで勝負する

MEMO
超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図
◆子育てはルワンダがいい
ルワンダならメイドが月5000円。
シングルマザーでもフルタイムで仕事ができる。
生活費も安い。
家賃も5万~8万円出せば、
安全でいいところに住める。
食事は材料費が安いので、
食費も安くできる。
◆中国はなぜアフリカに深く食い込もうとしているのか
中国はすでに、
アフリカにとっての最大の貿易相手国である。
売るのも買うのも、ともに最大である。
中国が買っているのは、
燃料・鉱物が約9割で、
あとはコーピー、紅茶、ナッツなどの食品関係である。
売っているものは、
4割弱が機械・電子機器・部品、残りは車両、プラスチック製品、
アパレルなど幅広くある。
すでにそれらの輸出金額は10兆円規模になっている。
ちなみに、日本とアフリカの貿易は、
アフリカへの輸出で約9000億円弱、
輸入で8500億円弱。
ともに中国の10分の1以下である。
◆ジャック・マーがなぜ2度もルワンダに来ているのか
中国のアリババの創業者ジャック・マーは、
ガーナだけでなく、
ルワンダにも2回来ている。
ビジネスを引退したことになっているが、
なぜアフリカにいるのか?
それは、
中国共産党からの要請があるのはもちろんだが、
アフリカのビジネスのポテンシャルを、
感じているからである。
いわゆる「タイムマシン経営」。
先進国や中国、インドで成功したビジネスモデルを、
アフリカで導入するモデルも、
大きなポテンシャルがある。
◆海外送金手数料無料サービス
アフリカにはChipper Cashという
海外送金手数料が無料のサービスがある。
仕組みはシンプルで、
アプリをダウンロードし、
そこにモバイルマネーなどからお金をチャージする。
相手もアプリをダウンロードしていれば、
手数料無料でアフリカとイギリスの計8つの国の間で送金ができる。
Chipper Cashの収益源は2つ。
ひとつは国際送金時の為替手数料。
もうひとつはお金がチャージされたアプリから
携帯電話代金など外部に支払った際の手数料。
後者は日本のPayPayのように、
支払先の加盟店からももらう。
一般的な国際送金であるSWIFTを利用すると
手数料が1回40ドルほど取られる。
◆1年中「夏の軽井沢」
ルワンダの首都キガリやケニアの首都ナイロビは、
標高が1500~1800mほどある。
高知なので、
とても過ごしやすい気候である。
朝は気温15度、
昼間は28度くらい。
これがほぼ1年中続く。
30度まで気温が上がることはまれ。
月間の平均気温は1年中20~22度である。
キガリヤやナイロビは、
1年中「夏の軽井沢」状態なのだ。
最高に過ごしやすい。
◆アフリカで数百億円規模の事業を行う日本企業
アフリカの急激な経済成長をチャンスとしてとらえ、
すでに大きな収益を実現している日本企業もある。
例えば、女性用のウィッグの素材でナンバーワンのシェア、
数百億円規模の事業を築いているのが、
日本の化学メーカー「カネカ」。
アフリカには、
独特のヘアスタイル文化がある。
自分の髪だけではなく、
エクステやウィッグを使って自身に合ったお洒落を楽しむ。
人工毛髪において「カネカロン」という
日本メーカーの独自の技術が生きている。
また、アフリカから直接、
日本の中古自動車をインターネットで販売している
企業も大人気。
走っている車の8割が日本車、
なんて国もある。