クオンタム思考 テクノロジーとビジネスの未来に先回りする新しい思考法 by 村上 憲郎

MEMO
◆今「プログラマー」と呼ばれる人たちは、
今後、確実に、量子コンピュータのコードを書かなければいけない時代が、すぐそこまで迫っている。
そのためには、最低限の量子力学の基礎を知らなければ話しにならない。
◆無駄なく学ぶための「グローバルスタンダード」戦略 ★
会計学や簿記概論といったものは、英語「で」勉強したほうが、グローバルな人材を目指しつつ、ビジネスで重要なお金のセンスを磨くことができるので、一石二鳥にもなる。
そもそも、会計学や簿記概論といった課目は、実際は「漢語」を勉強させられているのである。
明治時代に創出された「和製漢語」というのは、外国語なのである。
同じ外国語を勉強させられるなら、グローバル人材には必須となってしまった英語「で」勉強するほうが、自然である。
会計と簿記を和製漢語で学ぶよりも初めから英語「で」勉強したほうがよい。
和製漢語の会計学や簿記概論は誤解を招きやすい。
たとえば、「売上原価とは、仕入れた数量全体の仕入れ価格の合計額だ」と思ってしまう。
ところが、売上原価のもともとの英語はCOGS(Cost of Goods Sold)、「売れた商品の原価」という意味である。
COGSという表現は、「売れ残っている商品については何もいっていない」という旨を言い含んでいる。
ちなみに「売れ残っている商品」については、和製漢語では「棚卸在庫」、英語ではInventoryと呼ばれ、資産勘定に残っている。
◆中学英語で十分 ★
英語「で」学ぶのに必要な英語力は、語彙は別にして、中学英語が身についていれば十分。
中学英語を身につけるのにお勧めなのが…
- 中学1年生の英語の教科書を手に入れる
- その教科書をネイティブスピーカーが読み上げているCDが別売されているものを手に入れる
- 毎日1時間、そのCDを聴きながら同時に、そのネイティブ・スピーカーの読み上げと声をそろえて、教科書を音読する(つまりシャドウイングする)
- 1年生の分が終わったら、2年、3年の教科書でも続ける
- 1年ほど続けていけば、中学3年分の英語が、道を歩いているときや電車の中でも「鳴る」ようになる。そうなれば、「中学英語が身についた」証拠ということ。
これで、英語「で」学ぶのに必要な英語力が身についたことになる。
◆英語を身につける★
豊かなフレーム・オブ・リファレンスを築くために、「英語」で学ぶ。
英語はグローバル言語になってしまったので、英語「で」しか得られない情報、英語「で」しか読めない書籍は、数え切れないほどある。
世界のわずか1%ほどの人間しか使っていない、日本語というローカル言語で高等教育が受けられるというのは、もはや恩恵ではなく、足かせに転じたということを率直に認めるべき。
◆フレーム・オブ・リファレンス(Frame of Reference)を豊かに形成する方法★
- 書籍・動画などのインプット
- リベラルアーツを学ぶ
リベラルアーツは、「答えのないものを問う力」、そして「新たな問を立てる力」そのものである。 - 量子力学分野を学ぶ
量子力学が描き出す世界が、これまでの日常感覚とは根本的に異なるものであり、かつこれからの世の中を変えていく技術のなかでも最先端に位置している。 - 英語を身につける
豊かなフレーム・オブ・リファレンスを築くために、「英語」で学ぶ。 - 社会人の基礎教養として財務3表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)と契約書を読めるようにする
◆イーロン・マスクは、最近では、
脳を機械とを結合するBMI(Brain Machine Interface)と呼ばれる分野にも進出し、「Neuralink」という会社を立ち上げ、すでに豚の脳へのインプラント実験を成功させている。
豚は、身体構造的に人間に最も近いと言われている哺乳類なので、人間へのインプラントも近々開始されるものと思われる。
◆フレーム・オブ・リファレンス(Frame of Reference)
分野やジャンルを超えて、関連付けたり発展させて考える土台づくり。
意識的に形成していくことで、マクロな視点の獲得や、柔軟性を身につける訓練となる。
◆一知半解(いっちはんかい)★
こまないところはわからないままにし、わかるところだけ解読する読み方。
分厚い本格的な専門書はあえて避け、字が大きくてイラストが多くて、なおかつ全体がぼんやりとでもつかめる程度のなるべく薄い本を買い、知識を身につける。
◆せっかくリベラルアーツを学んでも、
それが自身の知識体系に適切に位置づけなければ、ただの知識の断片となってしまう。
そこで大事になるのが、獲得した知識や経験・情報を、それぞれ関係するもの同士を軽く紐付けるかのように捉えおくこと。
イメージするならば、それぞれの頭の中にインターネットの通信網のようなものが築かれていなければならない。
外からの情報が頭の中に適切に引き出しにしまわれ、長期にわたって正しく保存され、なおかつ必要に応じてスムーズに取り出せる、そんな仕組みを頭の中に構築すること。
◆リベラルアーツや教養は、「身につけるだけ」ではもったいない ★
リベラルアーツとは、実践的な知識や学問の基礎のことで、おおもととなる古代ギリシャ・ローマ時代には「自由学芸七科」とされていた。
この自由学芸七科とは、文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽になる。
人類は、はるかな昔から、答えのない問と向き合ったり、新しい問いを見出すための道筋として、これらの学問を志してきた。
このリベラルアーツ、社会人の必須科目ではあるものの、それを活用することを意識できている人があまりにも少ない。
なぜなら、社会人になってリベラルアーツを教養として学んだことは、自身の知識体系に適切に位置づけなければ、ただの知識の断片となってしまうからだ。
◆「失われた30年」の理由(ワケ)★
日本は、150年前の明治維新以来、「欧米先進国に追いつけ追い越せ」とばかりに、「後進国日本」が抱えていた課題に取り組んだ。
その結果、20世紀初頭には、欧米列強と「肩を並べる」ところまで
近代化を進めることに「成功」した。
ところが、バブル崩壊に始まる金融危機以降、「失われた30年」と言われる停滞にはまり込み、それを脱却できなくなってしまった。
なぜか?
それは、日本はもはや、後進国でもなく、敗戦国でもなく、いわば「課題先進国」となってしまったからである。
誰かが解決済みの「正解」が、どこを探しても未だにない課題に、向き合わざるを得なくなっているにもかかわらず、そのような事態に有効に対処できていないからである。