田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」(渡邉 格)
千葉大学・園芸学部園芸経済学科に入学。
卒業後有機野菜の卸販売会社に就職。
2008年、独立して、千葉県いすみ市で「パン屋タルマーリー」を開業した
渡邉 格さんの著書です。
奇跡のパンの物語!
この世に存在するものはすべて腐り土に帰る。
なのにお金だけは腐らないのはなぜ?
お金中心の「腐らない」経済から、
発酵を繰り返す「腐る」経済へ…
「不思議なパン屋」が起こす、静かな革命。
祖父と父の教え、田舎の自然の恵み、
築百年超の古民家に棲みつく天然菌、
丹精込めて作られた素材…
すべてが一つになった…
どうしてこんなに働かされ続けるのか?
なぜ給料が上がらないのか?
自分は何になりたいのか?
人生どん底の著者を田舎に導いたのは、
天然菌とマルクスだった。
まっとうに働いて、
はやく一人前になりたい。
回り道して30歳で
はじめて社会に出て抱いたのは、
ほんのささやかな願いだった。
ところが、飛び込んだパンの世界には、
多くの矛盾があった。
過酷な長時間労働、
添加物を使っているのに「無添加な」パン…
効率や利潤をひたすら追求する
資本主義経済のなかで、
パン屋で働くパン職人は、
経済の矛盾を一身に背負わされていた。
「そうではない」パン屋を営むために、
田舎で店を開いた。
それから5年半、
見えてきたひとつのかたちが、
「腐る経済」である。
この世でお金だけが「腐らない」。
そのお金が、
社会と人の暮らしを振り回している。
「職」(労働力)も「食」(商品)も
安さばかりが追求され、
その結果、2つの「しょく(職・食)」は
どんどんおかしくなっている。
そんな社会を、
子どもに残したくはない。
いまの働き方に疑問や矛盾を感じている人に、
そして、パンを食べるすべての人に、
手にとってもらいたい…
目次
第一部 腐らない経済
第一章 何かがおかしい(サラリーマン時代の話・祖父から受け継いだもの)
第二章 マルクスとの出会い(父から受け継いだもの)
第三章 マルクスと労働力の話(修業時代の話1)
第四章 菌と技術革新の話(修業時代の話2)
第五章 腐らないパンと腐らないおカネ(修業時代の話3)
第二部 腐る経済
第一章 ようこそ、「田舎のパン屋」へ
第二章 菌の声を聴け(発酵)
第三章 「田舎」への道のり(循環)
第四章 搾取なき経営のかたち(「利潤」を生まない)
第五章 次なる挑戦(パンと人を育てる)