面白いほどよくわかる!心理学の本

面白いほどよくわかる!心理学の本 by 渋谷 昌三

東京都立大学大学院博士課程修了。心理学専攻、文学博士。
山梨医科大学医学部教授を経て、目白大学大学院心理学研究科・社会情報学科教授。
心理学における多くの著書で知られている渋谷 昌三教授の著書です。

気持ち、性格、考え方、記憶力、心の病…
人それぞれに異なる心の不思議な世界を解説!

見開きのページの右側に解説、
左側に図があってとても分かりやすい構成になっている。

右側の下段には注釈もある。

心理学の入門書にオススメ!

目次

1 心理学って何?
2 人づき合いの心理学
3 心理学者で読む心理学
4 人間の成長で見る心理学
5 組織の中の人間行動
6 元気をなくしたときの心理学
7 心を生み出す脳のシステム
8 性格と深層心理の分析

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MEMO

◆心理学でわかること(その12)

年功序列制度の崩壊や成果主義の導入により、
自分らしい仕事、キャリアアップできる仕事を探して
自分磨きに励む人も多い。

職業心理学は、そうした人にヒントを提供してくれる。

職業の適性と選択を通し、
人間と職業の関わりを考える学問として、
さまざまな研究が行われている。

適性とは、何かをするに当っての、
その人の能力やパーソナリティ、
関心、態度などを表わしていて、
教育や訓練などで得られる知識や経験、技能ではない。

しかし、仕事をして初めて発見した能力や適性、
関心度合いなども含めて適性を考える必要がある。

ただし、適職探しは自分探しではない。

若者の中には自分に適した仕事を求めて、
次々に転職を重ねる人がいる。

夢を描いて理想を追い求め(幸福の青い鳥を求めて)職を
転々とするため、青い鳥症候群と呼ばれる。

心理学者スーパーによると、キャリア(人間が成長を遂げていく過程)の視点からの
職業的発達段階は、
成長(0-14歳)➡探索(15-24歳)➡確立(25-44歳)➡維持(45-64歳)➡下降(65歳~)
の5段階をだとっている。

適職を見つけるために探索を続けるのは大切だが、
確立に至らないままに年齢を重ねてしまえば、残されるのは下降だけだ。

だからこそ、幸せなキャリアを築き上げるためには、
実践に裏打ちされた職業心理学の知識が役に立つ。

◆心理学でわかること(その11)

大災害は命や財産を無慈悲なまでに奪っていく。

人はそうした状況に遭遇したとき、
大きなショックを受け、パニックを起こす。

時には逃げ惑うだけでなく、
破壊的な行動に走ることもある。

災害心理学は、こうした非常事態下のパニックの研究や、
デマの広がりるメカニズムをテーマにしている。

今まさに、鹿児島で地震が頻発して悪質なデマなどが
Twitterなどに投稿されている。

災害は、身体だけでなく、
心にも大きな傷を残す。

けいれん、悪夢、物忘れがひどくなることもある。

自分が生き残っていることへの罪悪感を覚えることもある。

これがトラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる症状である。

地震など自然災害が多い日本では、災害心理学がますます重要なテーマとなる。

◆心理学でわかること(その10)

事業を運営する上で諸問題について、
心理学的手法を用いて解決を図り、業務の効率アップを研究
するのが産業・組織心理学である。

景気低迷の中、企業が業績を上げるためには、
会社を支える従業員のモチベーションアップが欠かせない。

モチベーションとは動機づけ。

動機が行動を起こすための動因であるのに対し、
外発的動機づけ(ボーナスを与えるなど)、
内発的動機づけ(新規事業を任せて刺激を与えるなど)がある。

また、実行可能な目標を設定し、
成功体験を積み重ねることも効果的動機づけとなる。

こうした動機づけから、
仕事に張りを与え、社員に明日も頑張ろうという気持ちにさせる。

◆心理学でわかること(その9)

社会心理学は、人間の行動を他者からの刺激や反応の結果と考える。

マインドコントールや洗脳に関する研究は、
まさに社会心理学が得意とするテーマである。

そのほか、流行はどのようにして生まれるのか、
集団はどのようにしてできていくのか、
困っている人を助ける人とそうでない人がいるのはなぜかなど、
社会レベルから個人レベルまでの人間の行動を研究するのが社会心理学である。

マインドコントールは、人を動かす方法の中で、
最も悪質かつ巧妙な方法のひとつである。

オーム真理教のような破壊的オカルトは、
巧みにマインドコントールを行い、
本人の自覚のないままに自己のアイデンティティを破壊し、
彼らが必要とする人格に変えてしまう。

つまり、人間の欲求を操り、情報をコントールすることなどで個人を支配する。

そのため、マインドコントールを受けた人は、
時には常識では考えられないような犯罪行為に走る。

悪質商法に引っかかって、知らないうちに大金を奪われたというのも
マインドコントロールのひとつである。

よく誤解されるのは、マインドコントールと洗脳との違いである。

洗脳は、物理的強制力をもって、人間の身体を拘束状態に置き、
行動を変えようとする。

◆心理学でわかること(その8)

中年期は人生の折り返し地点だといわれる。

それはこの時期、さまざまな変化が訪れることが多いからだ。

中年期を迎えると体力や気力が衰え、
若いときのように活動するのが難しくなる。

その結果、もう若くないという意識が芽生え、
老いと死への不安が頭の中を横切り、
人生の残り時間を数えるようになる。

経済の低迷とともに老後の安定した生活を保障できなくなりつつある。

仕事においても自分の限界が見えてきて、
本当にこんな人生でよかったのだだろうかと思い悩み、
中年うつになる人もいる。

中年危機と呼ばれるこの時期を乗り越えるには、
自分の人生をもう一度問い直し、
新しい自分を構築することが大切になる。

心理学は、こうした中年期の問題に気づきを促し、
解決策を見つける役割をしている。

◆心理学でわかること(その7)

若年層に限れば約9割がインターネットを利用している。

こうした情報技術の発達とともに人間関係も大きく変わろうとしている。

ネット社会には、相手と顔をあわせることなく匿名で情報交換ができ、
自分がいる場所が特定されにくいといった特徴がある。

そのため、今まで社会を覆ってきた制約が弱められ、
個人の欲望がむき出しになってしまう。

心理学者ミルグラムは、
現代人の特徴として
「情報を短時間で処理しようとする」
「重要ではない情報は無視する」
「責任は転嫁する」
「他人と接触を避ける」
という4つを挙げている。

これはネット社会に生きる人間の特徴である。

また、インターネットを四六時中していないと気がすまない
インターネット依存症、スマホの着信履歴をいつもチェックしないと
安心できない着信履歴恐怖症など、特有の心理症状も生まれている。

心理学はこうした問題を踏まえ、
人はインターネット社会とどのようにつき合っていくべきかを探求している。

◆心理学でわかること(その6)

同じ目標に向かって行動を起こすとき、
人がみな同じような行動を取るとは限らない。

ある人は慎重に立ちまわるかもしれないし、
またある人は一気に突っ走っろうとする。

このように人の考え方や行動には、
明確な違いが存在する。

人はそれを「個性」と呼ぶ。

私たちは同じ人間だが、
同時に一人ひとりがさまざまな個性を持った違う存在でもある。

人と人が違う個性を持っている以上、
お互いを理解するためにはそれを知ることが必要になる。

お互いの個性や性格を理解し、
相手とつき合うことが人間関係を好転させる。

心理学はそうした人間の潜在的な部分に光を当て、
個性を形づくるるさまざまな要素を研究している。

◆心理学でわかること(その5)

万人が納得できる生き方などない。

会社勤めがいいという人もいれば、
自由業がいいという人もいる。

他人にとってみれば幸せな生き方も、
あなたにとってはそうでないかもしれない。

自分らしく生きるとは、
あなたにとっての幸せを見つけることである。

しかし、自分らしく生きるということは意外と難しい。

なぜか?

心は、私たちが「自分の気持ち」と思っている意識と、
自分自身ではうかがい知ることのできない無意識の
2つで構成されているからである。

私たちは幼いころからさまざまな価値観にさらされている。

自分に適した価値観を見つけることができればよいが、
自分に向いていない価値観を「常識」や「教育」と称して押しつけられる。

その結果、「本当の自分」「裸の自分」を心の奥底に隠してしまう。

重要なので繰り返す、
私たちは自分に適した価値観とは異なる価値観を押しつけられるため、
「本当の自分」を心の奥底に隠してしまう。

そんなときは、ユングのペルソナを身につけて、
うまく世間を立ちまわることも必要になる。

心理学は人間の表に表れている部分はもちろんのこと、
心の奥に潜んでいる深層心理まで引き出してくれる。

自分自身の価値観を発見する力になり、
本来の性格を見抜く。

本来の自分を見つけ、進むべき生き方を示してくれるのが心理学である。

◆心理学でわかること(その4)

なぜ人は人間関係で苦しんでしまうのか。

多くの場合、その原因は相手と自分は違う人間だという前提を、
どこかに置き忘れたままコミュニケーションを取ろうとすることにある。

つまり相手を知ることが人間関係のトラブルを解決する第一歩である。

親子であれ、上司と部下であれ、
恋人同士であれ、あらゆる対人関係の糸口はそこにある。

心理学はもつれてしまった糸の解き方や、
新しい糸の結び方を教えてくれる学問である。

たとえば、嫁姑をはじめ家族の問題であれば「家族心理学」が、
恋人同士の問題なら「恋愛心理学」が、
仕事の問題であれば「産業・組織心理学」や「職業心理学」が
そのヒントを与えてくれる。

心理学はこれまでの行動の「何が」ダメだったのかを教えてくれる。

◆心理学でわかること(その3)

人は人生の中でいろいろな試練に出会う。
時にはその問題に飲み込まれ、心が不安定になることもある。

経済が低迷し、給料が上がらないどころか、
賃下げ、リストラといった厳しい状況があり、
メンタル力が試されている。

そんなとき、心理学から自分の心の動きを
客観的に理解する知識や、予想もつかない出来事を慌てることなく
受け止める心構えなどを学んでおけば、
悩みの渦から抜け出す対策を練ることができる。

また、対人関係においては、
相手の真意を正しく受け止めることで、
自分がなすべきことも見えてくる。

たとえば、ストルツにおるLEAD法は、
逆境を乗り越えるための4つの心理テクニックを法則にしたものである。

このように、押し寄せるさまざまな事態を乗り越えるような知恵を、
心理学は教えてくれる。

◆心理学でわかること(その2)

心の動きは、多かれ少なかれ身体や行動に表れる。

ということは、身体の状態や行動を見て、
人の隠された心をある程度知ることができる。

たとえば、心理学者ヘスの実験でこんなことが分かっている。

男性には女性のヌード写真を見せたとき、
女性には赤ちゃんを抱いた母親の写真を見せたとき、
瞳孔が拡大することが確認された。

このことから、ヘスは興味や好意、興奮を感じたとき、
瞳孔が拡大するという結論を出した。

また、人のしぐさや口癖、言い間違いをした言葉などからも
相手の心理を読み取ることができる。

◆心理学でわかること(その1)

心理学は心を学問として論理的に研究し、
科学的に「心のしくみ」を解き明かすことを目的にしている。

「どうしてあんなことをしてしまったのだろう」と、
人は自分でもよくわからない行動を取ってしまうことがある。

これは、心の奥底にある自分では意識されない心(無意識)の働きによるものである。

心理学は実験や観察、面談、病理学などさまざま観点から実証を重ねることで、
そうした心の謎を解き明かしてくれる。

私たちは心を直接見ることはできない。

しかし、心理学の知恵を借りて心を感じることはできる。

そして、物事に人間が関わる以上、
「心理」はすべての物事に働いている。

◆役立つ心理学その7:逆境を乗り越えられる度胸はある?

箱に入れられて子犬が捨てられていた。
かわいそうに思って家に連れて帰ると、
親に「捨ててこい!」と言われた。
さて、最も度胸のある人の対応はどれか。

1)誰か飼ってくれる人を探す。
2)元いた場所に戻し、えさをやるために通う。
3)飼ってもらえるよう必死で親を説得する。
4)しかたないので捨てにいく。

解答

答えは3)。意思が強く、逆境にあってもそれを乗り越えようとする実力がある人。
周囲からも頼りにされる。

1)は、周囲の空気を読みながら、自分の意思を通そうとし、
駆け引きが上手。

2)は、問題を先送りするタイプ。その優しさゆえに、
人の意見を聞きすぎて、自分の意思が見えなくなってしまう。

4)は、最も度胸がないタイプ。優柔不断で、人の言いなりになってしまう。

◆役立つ心理学その6:やっぱり見た目って大事?

女性が知り合いの男性と話している。
あなたがその女性なら、相手の男性の何が気になるか?

1)シャツが気になる。
2)靴が気になる。

解答

1)のシャツと答えたあなたは、愛情を大切にしている人。
特に、シャツの汚れやしわを気ににする女性は、
母性が強いといえる。
男性の場合は、女性的な傾向が強い。

2)の靴と答えたあなたは、
経済的な面を重要視する人。
靴は権威や権力を意味し、
男性が靴にこだわる場合は、
上昇志向が強いといえる。

女性の場合は、ぜいたく癖がある。

このように、服装の効果が他人や本人に与える影響は大きい。
服装には「ハロー効果」が働き、それによって、
その人のすべてが良くも悪くも先入観となって判断される。

制服を着ると、人は安心して仕事ができる。
スーツを着ている人のほうが信用できる。

こういったこともハロー効果が働いているといえる。

◆役立つ心理学その5:八方美人では得るものなし?

空腹のロバがいる。ロバから3メートル離れた位置に、
水がたっぷりと入った桶と、えさが山盛りになった桶が置いてある。
水桶とえさも3メートル離れている。
さて、ロバはどちらに行くか。

解答

答えは、なぜかロバは立ち往生してしまい、
水もえさも選ばず、ついには餓死する。

これは「ブリタンのロバ」という逸話である。
ブリタンのロバは、どちらも欲しいけれども、
どちらに手をつけていいか手がかりがなく、
結局選べないまま、餓死してしまう。

これは、人間の「迷い」の元型を表わしている。
AさんとBさん、どちらにもいいなと八方美人に対応して、
結局どちらも得られす、恋が終わってしまうこともある。

人生は、二者択一の連続。
人生の岐路に立ったら、
どちらを選んでも後悔することを肝に銘じる。

◆役立つ心理学その4:味方にするにはどこで話す?

Aグループのあなたは、
Bグループの実力者をこちらに引き込みたいと考えているが、
説得するにはどこで話せばよいか。

1)どちらも初めての場所で話す。
2)あなたの行きつけの店で話す。
3)相手の選んだ場所で話す。

解答

答えは2)。ホームグラウンド効果というものがあり、
相手を自分の慣れ親しんでいる場所(ホームグラウンド)
に誘い込むことができれば、
あなたはリラックスして活動することができ、
話しも有利に展開することができる。

また、相手のペースに巻き込まれないですむ。

相手に苦手意識がある場合はなおさらである。

逆に、3)の場合は、相手に主導権を握られてしまう。

1)は、2)に次いで効果的な場所といえる。
双方、同じ条件で話すことができる。

◆役立つ心理学その3:上手なお願いのしかたはどれ?

急いでコピーをしたいが、先に使っている人がいる。
割り込んでコピー機を使わせてもらう頼み方で承諾が得られるのはどの言葉か。

1)急いているので、先に使わせてください
2)コピーしないといけないので、先に使わせてください
3)先に使わせてください

解答

答えは、1)か2)。
3)のように、いきなり言われては、その要請のしかたにまずい相手はムッとする。

2)の場合は、先に使わせてもらう理由にはなっていないが、
1)と同様、「ので効果」で承諾率が高くなる。

「~ので」という言い方は、
適当な口実をつかで頼む方法である。

このように言えば、相手は何となくOKしてしまう場合が多い。

つまり、はっきりした根拠はなくても、
こうしたほうがいいんだろうと直感してしまうのである。

◆役立つ心理学その2:恋愛相手が浮気。あなたはどうする?

彼(彼女)が浮気していることがわかった。
さて、あなたならどうする?

1)黙って耐える。
2)そんな人とはすぐに別れる。
3)浮気相手と別れてとお願いする。
4)相手の女性(男性)と直談判する。

解説

1)の人は、物事を否定的に考える傾向にあり、
自分自身も大切に思っていない。

2)の人は、本当に相手のことを愛していない。
表面的につながっている恋人関係だといえる。
もう一度自分の気持ちを確かめる必要がある。

3)は保守的な人。
相手を非常に愛しているが、プライドも高い、
計算高い面がある。

4)は非常にプライドが高く、自己愛も強く持っている。
それだけに激しいショックを受け、思い切った行動に出てしまう。

◆役立つ心理学その1:手は口ほどにものを言う!

あなたの話しを4人が聞いている。
彼らの手のしぐさから、一番話しに興味を示しているのは誰か?

1)指で机を叩いている。
2)腕組みをする。
3)机の上に両手を広げて置く。
4)額に手を当てる。

解答

答えは3)である。
リラックスした態度で、興味を示している。
この姿勢でこぶしを握ると、拒否、威嚇、攻撃の気持ちを表すことになる。

1)のしぐさは、イライラや緊張、拒否を表す。

2)は、他人を自分の領域に入れないように拒否する姿勢である。
ただし、笑顔で腕組みをしたり、相づちを打つと、逆に興味を示していることになる。

4)は、迷いがあり、相手を信用していない感じがある。

◆心理学ブーム

アドラー心理学が
ベストセラーになっている。

なぜ、心理学がいまブームになっているのか。

それは今日の社会状況の不安定さ、
先行き不透明な生活への焦燥感、
生きにくく感じている人々の裏返しでもある。

家族や友人、職場での人間関係に悩み、
その悩みを打ち明ける相手もいない孤独感。

いずれにしても、
心理学は「心を科学的に解明する」学問である。

心理学を学ぶことによって、
他者や自分の心を論理的、客観的に
紐解ける快感を得ることができる。

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